裸でも生きる

「途上国発のブランドを創る」

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)

山口絵理子さんを知ったのは、情熱大陸だった。それからしばらく経って先日、なんとなく寄った新宿小田急店で、著作を買ってきて読んだ。
大学時代に開発学を学んだ山口さんは、アジア最貧国のバングラディッシュを訪れ、学問の理論と現実とのギャップを感じた。自分に何かできないか、と思って始めたのが、地元で生産されているジュートという生地を使ってデザイン性の高いバッグを作り、先進国で売る、というビジネス。
貧しい人のために、バングラディッシュ発のかわいいバッグを生産するという夢の傲慢さ、無知さ、浅はかさ。山口さんはその壁に何度当たっても、世の中の仕組みを少しでも変えたくて、バングラディッシュ発、対先進国のビジネスを続けている。
この本は、男子柔道部に通っていた高校時代から、開発学を学んだ大学時代、バングラディッシュでビジネスを始めた現在、という流れで、山口さんの根底にあるものが垣間見える感じ。


失礼を承知でいうと、決して理路整然とした内容の本ではない。まあそもそもそんなところにこの本の価値があるわけではないんだけど。だらだら文句言ってる暇があれば、さっさと行動すればいい。それだけ。


個人的に貧困問題に興味をもっているわけじゃないんだけど、情報に過度に偏りがあることで成り立つビジネスってもうナンセンスじゃないのかなあ、という思いがあって、バングラディッシュの現実と先進国との差を、ビジネスで埋めたいという山口さんの考え方とは、なんとなく通ずる部分があった。

開示できる情報は開示した上で、フェアなビジネスが成り立つところ。別に「べき」論で行動するつもりはないけど、情報を開示するためのプラットフォームは、ここ数年で圧倒的に充実したのかなと思うし、分野によっては自然とそうなっていくんじゃないかなあと思っている。


なんか、この本と関連して思うところを綴っただけでよくわからない内容になってしまったけど、最後に、山口さんのブランド、マザーハウスの現地マネージャ、アティフさんの言葉を引用しておく。

これまで大勢の人々が開発の名の下にやって来て、お金や食料を援助してくれました。でも私が思うに、それには持続的な効果はありません。なぜなら、人々に無償で何かを与えるのは、彼らを「物乞い」にするのと同じだからです。
エリコさんは全く違う哲学の持ち主です。彼女は「ビジネス」を通じてこの国を力づけようとしています。それこそが、人々を救う唯一の持続的な道と、私も信じています。
もし仕事があれば、彼らは誇りを持って生きていけます。それが、私が彼女と共に働く最大の理由です。