電子書籍端末の動向(2009年12月時点)
にわかに電子書籍端末に関する話題がホットな昨今ですが、今週号のThe Economistでも見開き1ページのライトな特集が組まれていました。
Read all about it - New displays for e-readers
以下に、企業と採用している原理についてざっとまとめます。記事をベースに調べたものですが、誤りなどあれば指摘下さい。
E INK
- 電気泳動方式(マイクロカプセル方式)
- 既存の電子書籍の90%以上で採用
- 目に優しく、バッテリ消費が少ない
- 原理 http://e-ink.com/technology/howitworks.html
Qualcomm
- 干渉変調方式(Interferometric MODulation:IMOD)
- mirasolディスプレイ技術を買収し、開発
- 色の切り替えが早い
- 既に携帯電話や衛星ナビゲーション端末に採用
- 原理 Products | Qualcomm
Pixtronix
- PerfectLightディスプレイ
- 原理 Products | Qualcomm
Liquavista
- エレクトロウェッティング
- フィリップスからスピンアウト
- 原理 http://www.liquavista.com/jp/technology/electrowetting.asp
Pixel Qi
- OLPCプロジェクトの元チーフ
- LCDを採用
- バックライトモードのオン(高解像度)オフ(白黒)を切り替えられる
- 原理というか紹介 http://www.pixelqi.com/products
FLEPpia
- コレステリックLCDのディスプレイ
- 高価で、色の切り替えに時間がかかる
- 原理 http://jp.fujitsu.com/group/labs/techinfo/techguide/list/paper.html
雑感
まず、E INKがMITからスピンアウトしたのが1997年ということに驚きました。
今はE INK全盛の模様ですが、半年、1年後には攻勢が逆転している可能性は容易に想像できます。また、タッチスクリーン、カラー表示、動画の再生などは、あっという間に技術開発が進み、製品化されることは間違いなさそうです。2010年以内かもしれません。
製品の良さはもちろん、コンテンツをダウンロードし、デバイスで閲覧するためのインフラも普及に当たっては重要ですね。kindleに関しては、id:phoさんの以下のエントリが参考になります。
Webのコンテンツをkindleで読む - pho's blog
エントリでは取り上げていませんが、個人的には、Barnes & Nobleが発売したNookが、今一番気になる存在です。おそらく、もう少し世代が進むのを待つでしょうけど。
NOOK | Barnes & Noble®
少し前まで、「本は紙だろ」と思っていたのですが、少し想像してみると電子書籍端末のデメリットってそれほどないことに気づきました。好きなコンテンツを自由(無料という意味ではなく)にダウンロードし、端末で読む、という行為にそれほど違和感を抱きません。先入観なんてそんなもんですね。というか、そうでありたい。
なお、今回The Economistが取り上げた技術のほとんどは、1年前にid:gomi-boxさんがまとめてくれているものでした。本エントリでも、原理についてはほとんど引用させて頂きました。E INKが産声をあげたのが12年前ですから、技術的には何ら真新しいものではないということですね。自分は全く知らなかったけど。
電子ペーパー動向のまとめ - 毛のはえたようなもの