第35回The Economist読む隊

仕事上がり、品川にて。6人で回すと楽だなと思った。
ここ最近はBanyanというアジアの話題を取り上げていたんだけど、どうも暗いネタが多くていまいちだなあと思ってたところ。みんなも同じ意見だったようで、今週は一般の認知度こそ高くはないけど、世界の特定市場において圧倒的なシェアを誇る日本の"chuken kigyo"についての記事を取り上げた。
Invisible but indispensable - Japan's technology champions


パナソニックソニーなど、誰もが知る大企業が世界市場でシェアを落とす中、シマノマブチモーター、コバレントマテリアルなどといった日本の中堅企業*1が、それぞれの分野で独占状態を維持している、という話。
これらの日本企業は、終身雇用制、閉鎖性といった、西洋の経営陣から長らく批判されてきた企業風土が特徴である。しかしその風土が正しかったであろう面を見直してみると、技術の伝承、顧客との密接な関係が、競争力の源になってきたのだ、という見方。中盤過ぎまでベタ褒めが続く。


で、これからはどうか。
小さな市場においては、参入企業はお互いに協業し、場合によっては合併も必要だという主張。韓国や台湾、中国が力をつけてきている中、少しでも外を向いてオープンであった方が、新たな収入源を見い出せる可能性があるからだ。

閉鎖的な企業風土がもたらした失敗例として、ステッパの分野でオランダのASMLにシェアを奪われた、キャノンとニコンの事例を教訓に挙げている。ASMLが外部にオープンであったのに対し、両日本企業は、頑なにクローズドであったらしい。結果、ASMLは60%以上のシェアを誇るまでに成長した。

雑感

全体を通じて"chuken kigyo"寄りの記事で、最後には伝統的な刀剣製法が今活きているんだ、という話にまで及び興味深いが、引き続き市場独占を維持する企業と、状況に応じて柔軟な経営判断を下す必要のある企業と、分かれそうだなという印象を受けた。また、イノベーションのジレンマに陥る可能性もあるわけし、ここ数10年よかったからこれからも安泰、ということにはならないだろう。
経営陣の判断がものを言うところってことですね。想定読者層が伺える。

*1:資本金1億円以上、10億円未満という定義からすると大きく外れているわけだが...