第27回The Economist読む隊

木曜日、品川某所に行ってきた。Face Valueについて振り返ってみる。
今週のネタは、フランスはIliadの創業者、Xavier Niel氏。ロン毛のカジュアルなおっさんで、フランスビジネス界の様子を垣間みれて面白かった。
Iliad's warrior - Face value


Iliad*1は、格安、高速通信を売りにしたインターネット事業で成功したフランスの企業。最近では、携帯業界に殴り込みをかけようと、いや、かけられるか、という話。

とはいえ、既存のビジネスシーンにおいて既得権益を持つ人々がいるのは常で、フランスの場合、Orange、SFR、Bouygues Telecom といったビッグ3が既にいて、それらとIliadが激しくぶつかり合う構図になってるみたい。ちなみに、Orangeは欧州、中東付近でiPhoneの販売権をもっている業者*2


(修正あり。誤訳でした)
今年の8月に入って、Iliadには政府から携帯事業者としての国内で4つ目のライセンスが与えらたIliadは携帯事業者として国内で4つめのライセンスに対し、入札を行った*3。うまくいけば、Freeという、半額かつ通話の制限もなくすサービスをローンチする方向で進めているようだ。これが、他社の利益分を、Iliadがかっさらっていくのでは、との見方をされている。

ビッグ3はもちろん抗っていて、政治家に対してjob cutやstrikes、outsourcingの影をちらつかせ、ロビー活動に力を入れているとのこと。ひどいなあと思ったけど、限りあるパイを分け合う以上、けっこう現実的なのかもしれない。Better Placeといい、既にある大きな業界では、既得権益だろうが、新規参入者だろうが、ロビー活動が重要だなあと思った。


Niel氏は珍しい経歴の持ち主で、家族にも大学の教育にも頼らず、自力で成り上がってきたようだ。まず取り組んだのはフランスの性ビジネス。どうやら、かなりいかがわしいところに足を踏み入れ、逮捕もされていた様子。


とまあ、そんなアウトサイダーなNiel氏だけど、IT業界ではフランスで唯一の億万長者らしい。そんな人が、インターネット業界に続き、携帯業界までも破壊してしまったら、エスタブリッシュメントな人たちも彼を認めざるを得ないよね、というのがEconomistの見方。

そう考えてみると、両業界を同一人物が殴り込みにいくってすごいなと思った。逆に言えば、Niel氏以外に人材がいないのだろうか。それはそれで問題かもなあ。
というわけで、フランス携帯業界の今後の動向は注目に値するネタのようです。