カスタマーサービス
Joel Spolsky のコラムを読んだ。サポートサービスの価値訴求について、非常に的確に突いていると思う。
記憶に残るようなカスタマサービスへの7ステップ - The Joel on Software Translation Project
Joel Spolsky - Wikipedia
実際にソフトウェアサポートを業務としている自分が読んで、そうだよなあと再認識する部分や、一方でケースバイケースだなあと感じる部分があったり、で面白かった。
問題はすべて2通りの方法で解決する
テクニカルサポートの問題はほとんどすべて2通りの解決法がある。表面的で対症療法的な処置をする解法では、単に顧客に起きている問題自体への対策をする。しかしもう少し深く考えてみれば、通常もっと本質的な解法を見つけることができるものだ。これはその種類の問題が以後2度と起きないようにするような解法だ。
後者を達成するための想像力、問題解決力がものを言う世界だと思う。逆にいえば、これができないとバリューは生まれないし、一気に誰でもできる仕事へと成り下がってしまう。
多くのソフトウェア会社は相変わらずテクニカルサポートをバンガロールやフィリピンに置いたり、あるいはすっかり他の会社にアウトソースしてしまうのが「経済的」だと考えている。確かに個々のインシデントにかかるコストは50ドルから10ドルに減るかもしれないが、その10ドルは繰り返し繰り返し払い続けなければならないのだ。
必然的に海外のサポートエンジニアと比べられることになるけど、国によっては顧客のサポートへの期待値に差があることも踏まえておくとなおいいかもしれない。
ホコリを払うように勧める
「キーボードが効かないと苦情を言うユーザ」の話。
ちゃんとつないでますか
と尋ねるのではなく、
ああ、接点にゴミがついて接続が弱くなることがあるんです。1度コネクタを抜いて、接点のゴミを吹き払ってから、つなぎ直してみてもらえますか?
と言う。
これは大いに参考にしたいと思った。ディスプレイ(電話でもいいけど)の向こうにいる顧客を見下してはいけない。デスクワークを続けていると、どうしても忘れてしまいがち。
顧客をファンにする
顧客が問題を抱えており、それをあなたが解決するなら、彼らは始めから問題なんかなかった場合よりもいっそう満足を覚えるのだ。
しかもその人が感じが良くて親切で、実際に彼らの問題を解決してくれるということがわかると、このようなやり取りをする機会がなくて私たちを平均的だろうと思っている人よりも、私たちのことを高く評価するようになる。
これはよく上司から言われるな。顧客からの問い合わせは逆にチャンスだと。相手は怒ってることが多いだけに、マイナスからプラスにしないといけないわけだ。
責めを負う
「ああ、これは私のミスです」と彼は言った。
そして急に、私の怒りが消えた。
不思議なことに、「私のミスです」という言葉が、私の心をすっかり和らげたのだ。その言葉だけで十分だった。
これは非常に難しい。謝るべきケースとそうでないケース、見極めないといけない。謝るというのは、万事を解決するわけではないと思う。
操り人形の練習をする
あなたはただの人形使いだ。議論には関わっていない。顧客が「おたくのスタッフはひどいもんだ」と言うとき、彼らはただその役を演じているだけだ
(略)
そしてあまり個人的には取らないことだ。
製品サポートをしていると、ネガティブな部分*1を見ることが多いだけに、苦情を間にうけすぎるのは精神的に良くない。いい意味で気楽に、都合よくいないとな。
と、ここまで考えたところで、サポートの対応というのは所詮人ごとなのか、という問いが浮かぶ。結局人ごとなわけだけど、それを見せないようにする必要も十分にあるだろう。
とまぁこんな感じで鋭い。
ソフトウェアの世界で、サポートサービスについてここまで言及することは珍しいんじゃないかと思う。どうしても陽の当たらない、地味なポジションだからかなあ。需要があって、ちゃんと仕事してるんだけど。
*1:会社であったり、製品であったり、顧客であったり...