長距離走は、人生のメタファ

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

走る小説家村上春樹の、脳内ダンプ型メモワール。
昔駅伝を走っていた経験もあって、長距離走は嫌いじゃない。走る日の朝の気分から、走っている最中の不明瞭な脳内の様子、走り切ったときの思いまで、自分の思い出、当時の心理、感覚が、そのままトレースされてる感じ。長距離を走る人は、皆案外同じようなことを考えているものなのかもなぁ。

とにかく目の前にある課題を手に取り、ちからを尽くしてそれらをひとつひとつこなしていく。一歩一歩のストライドに意識を集中する。しかしそうしながら同時に、なるべく長いレンジでものを考え、なるべく遠くの風景を見るように心がける。なんといっても僕は長距離ランナーなのだ。

ある行為のプロセスを、まったく別の行為のメタファとして捉えるのはとても面白い。すいすい読める1冊。ブックオフで定価の半額以下で購入した、超美品。